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アロゲート(Arrogate) まとめ

こんにちは、湊柚子です。

 

「今後、この馬より強いダート馬が現れることなどあるのだろうか」と思わされたのが、アメリカのアロゲート(Arrogate)です。

デビューから引退まで、集められる限りのデータや勝利レースの動画などを掲載しています。

 

アロゲート(Arrogate)

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【品種】サラブレッド
【性別】牡
【毛色】芦毛
【生年月日】2013年4月11日
【血統】別欄参照
【調教師】ボブ・バファート(Bob Baffert)(米国)
【馬主】ジュドモント・ファーム(Juddmonte Farms)
【生産】クリアスカイ牧場(Clearsky Farms)
【総賞金】17,422,600 US$
【成績】11戦7勝

 

 

☆血統

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☆戦績

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☆勝利レース動画

トラヴァーズステークス(GⅠ)

 

ブリーダーズカップクラシック(GⅠ)

 

ペガサスワールドカップ(GⅠ)

 

ドバイワールドカップ(GⅠ)

 

 

アロゲートの軌跡

アロゲートの歴戦を俯瞰で見れば、アロゲートアメリカ競馬のトップに立っていたことは間違いないのですが、破った相手が人気者のカリフォルニアクロームであったことからヒール扱いされたり、強すぎる故に同じく人気者で歴史的名馬のセクレタリアトなどと比較されて「アロゲートのほうが弱い」などと書かれたり(最初からアロゲートのほうが強いという結論は用意されていないような記事)、スランプ中に先着された馬で後に活躍する馬(ガンランナーやアクセラレート)がまるでアロゲートに実力で先着したかのように言われるなど、非常に可哀想な王者でもありました。ヒール扱いやセクレタリアトの比較は仕方ないにしても、ガンランナーやアクセラレートとの比較でアロゲートのほうが下に見られるのは明らかにおかしいので、そのような勘違いをこれからアロゲートを知る人々にされるのを避けるため、軌跡を記します。

 

アロゲートはクリアスカイファームの生産馬で、キーンランドのセールに出され、ジュドモントファームによって56万米ドルで購入されました[1]。

デビュー戦は未勝利戦でしたが、1人気ながら3着に敗れました。しかし次走の未勝利戦で後続を4馬身半差離して勝利すると、続くアローワンスでも5馬身1/4、1馬身3/4差と圧勝で連勝しました。

重賞初制覇かつG1初挑戦となったのが、アメリカ3冠に続く重要な1戦トラヴァーズステークス(G1)でした。ライバルはプリークネスステークス(G1)勝ち馬エグザジャレイター(1人気)、ベルモントステークス(G1)勝ち馬クリエイター(5人気)、上り馬アメリカンフリーダム(2人気)などメンバーは揃い、それゆえにアロゲートは8人気でした。
アロゲートはテンが速い馬ではありませんが、1枠の恩恵もあってか、道中は逃げ。4角までに有力馬が詰めかけてくるも、差は詰まらないどころかどんどん離し、結局2着アメリカンフリーダムに13馬身半差をつけ、トラックレコードで圧勝しました。アメリカでも「とんでもない馬が現れた」と評判になります。

次走、アロゲートは3歳頂点を争うことなく(とはいえ同世代ライバルとされたのはソングバードくらいでしたが)、アメリカ競馬のトップを争うブリーダーズカップクラシック(G1)に出走しました。いくら化け物の可能性があるとはいえ、相手は正真正銘の化け物カリフォルニアクロームだったため、アロゲートは2人気で出走。カリフォルニアクロームは精彩さを欠いた休養前とは異なり、休養明け6連勝でG1競走7勝目を飾っており、一方アロゲートトラヴァーズステークスのみだったため、人気以上に前評判に差はありました(後に、アロゲートBCクラシック勝利は"upset"とされていました)。
しかしながらレースは世代交代を強く感じさせる結果となりました。アロゲートカリフォルニアクロームのペースの中で3番手につけ、4角カリフォルニアクロームよりも早くムチが入り、勝負は厳しいものと思われましたが、いざカリフォルニアクロームが追い出しても差は広がらず、むしろアロゲートは徐々に差を詰め、ゴール前でしっかりと差し切りました。
アロゲート鞍上のM.スミス騎手は「レブロン・ジェームズのような馬だ!」と称え、カリフォルニアクローム鞍上のV.エスピノーザ騎手は「もっと早く仕掛ければ良かったと思わなくもないが、彼は良く走った。誇りに思う。」、A.シャーマン調教師は「勝ち馬は本物だ。負かすべき相手だった」「言い訳できない」と述べ、実力勝負になったことを示唆しました[2][3]。

さて、前年にはこのレースを勝って史上初のグランドスラム(3冠+BCクラシック)を達成したアメリカンファラオという歴史的名馬が誕生したばかりなのに、早速新たな歴史的名馬が(同じ厩舎から)誕生したことは驚きですが、この2頭には奇妙な共通点があります。それは、2頭とも1歳(yearling)の時に他馬からダメージを受けたということです。アメリカンファラオは尻尾を噛まれ、アロゲートは前歯をやられて病気になりました。アロゲートは多少食事が困難になりましたが、食べっぷりは悪くなかったということだったそうです[4]。

4歳初戦はサンパスカルステークス(G2)が選ばれましたが、馬場を理由に回避[5]。カリフォルニアクロームとの最後の対決となる、1着賞金700万ドルのペガサスワールドカップ(G1)に直行となりました。カリフォルニアクロームは前哨戦を圧勝するも12番枠、アロゲートは順調さを欠くも1枠を引き、またしても真向対決となりました。アロゲートはスタートでふたたびもたつくも、道中ポジションを上げ、直線では後続を楽に突き放し、今年初戦を制しました。勝ちタイムは後に修正され、トラックレコード更新というおまけつきです[6]。

次走は不明でしたが、ドバイからのラブコールを受け、ドバイワールドカップに出走。カリフォルニアクロームは引退していますが、これまでのG1とは違って真ん中の枠であることやキツめのローテであることもあり、1.1倍とはなりませんでしたが、圧倒的1人気にはなりました。スタートは隣のフリアクルサーダに寄られる不利を受け、まさかの最後方から。しかしそんなハプニングにも狼狽えるのは調教師と観客だけ。人馬は非常に冷静にポジションアップし、先行馬をあっさり交わしての圧勝。多頭数中枠、不利を受ける、最後方スタートから前残りのレースを差し切るという新たな経験も積めて、今まで以上に圧倒的存在になりました。B.バファート調教師は「これを見て感動しない人は競馬が好きではないのだろう」と述べ、このレースの凄さを証言しました。アロゲートはこれにより、世界のダートの強豪が集まるレース(BCクラシック、ペガサスWC、ドバイWC)を完全制覇し、獲得賞金は米ドルで世界3位(1位オルフェーヴル、2位ジェンティルドンナ)、北米1位となっています[7]。

次走はサンディエゴハンデキャップ(G2)に出走しました。スタートは良くなく、後方追走からそのまま反応薄く、直線ではすぐに追うのをやめました。怪我とかではありませんでしたが、気持ち面で不安が出てきました。この敗戦を受けてのパシフィッククラシックS(G1)予定変更はありません。

しかし、このレースは完全なるスランプの始まりでした。次走のパシフィッククラシックSはエンジンが掛かるのが遅かった上に、全体的に本来のアロゲートの走りになく、逃げたコレクテッドに届きませんでした。そして、1年前の時点では連覇濃厚だったドバイワールドカップも、アロゲートは完全に別馬のようになっており、5着に敗れました。

 

 

※参考・出典

[1] Keeneland 2014 September Yearling Sale

[2] Arrogate overhauls Chrome to win Classic

[3] Arrogate Upsets 'Chrome' in BC Classic

[4] Hard to bad-mouth Arrogate

[5] Arrogate scratched from the San Pasqual

[6] Pegasus World Cup Time Corrected, Arrogate Sets New Track Record

[7] Arrogate Last to First in Dubai World Cup

[8] Arrogate to Return in San Diego Handicap July 22 at Del Mar