NECESSARY EVIL

生まれ変わりました。necessary evilとしての人間になりたいです。百合作品を筆頭に、アクション映画、アニメ、マンガ、ゲーム、野球など雑多に書きますね。

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統一感は無くとも情熱は本物です。
デザインはテーマ流用なので深い意味はないです。。。

私の推しは悪役令嬢。 6巻 感想[百合作品]

こんにちは、伊吹柚子です。

 

百合作品の感想です。


私の推しは悪役令嬢。(6巻)

[著者] いのり。(原作)、青乃下(漫画)、花ヶ田(キャラクターデザイン原案)

[出版] 百合姫コミックス

[あらすじ] 

「アモルの祭式」でのマナリアとの対決を経て、
関係を一歩進めたレイとクレア。
王立学院は夏休み直前、各々が休みの計画を立てる中、
クレアはレイの実家がある港町ユークレッドへ行きたいと言い…。

推し一筋のラブコメ・ファンタジー、第6巻!!
原作者・いのり。氏による書き下ろし短編小説も特別収録!(Amazonより)

 

 

原作がある作品とはいえ、続刊が発売されるのは、本当に嬉しいことですね~

アニメのほうも、女性陣はキャストが決まりましたね。

wataoshi-anime.com

このご時世(ご時世と言ってもTwitterという狭いコミュニティの中の話には過ぎませんが)、百合界隈に対する風当たりが強いですからね。そんな状況下にあっても、負けずにアニメの制作陣の方々を応援したいです。

恐らく今回の6巻についての中でも、同性愛というか、世論というか、そういった部分にも言及せざるを得ないと思うので、改めて私の立場を明確にしておきますね。

・私は、「百合に挟まる男」はちゃんと嫌いです(とはいえ、本作の男性キャラにそういう印象は全くありません)。

・同性愛が生きにくい世の中は認めません。

・百合を愛する者でもないのに、政治的信条を理由に百合界隈へと土足で上がり込んで批判してくる人たちには全力で徹底的に抵抗します。

こんなことをあえて言う必要もないのですが、本作の心からのファンとして、本作を支持するための立場は明確にしておきたいと思った次第です。

 

まあ、そんなところはほどほどにして、感想のほうに入っていきたいと思います。

今回は、バカンス編ということで、本編からは離れてちょっとばかり休暇という形ですね。それでもちゃんと本作らしく、魔法・転生によるところのイベントはありますが、基本的なテーマは激アツな『レイ×クレア様』です。

 

夏休みを前にして集まるいつメンたち。ロッドの投げかけにも全くイベントの起こる様子なく、各々の過ごし方に流れる女子3人衆。

後々レイが「物語は私の想像以上に変わってきているのかもしれない」と言っていますけれども、ユーガチ恋ミシャはともかく、乙女ゲーの夏休みイベントを前に男に全く靡かないレイ&クレア様には安心感すらありますね~

そして、夏休みに学院生に課される『アンデッド・ハント』の義務を前に、亡き者への弔意が足りないと言いつつ、お化けにビビるクレア様尊い!!

 

放課後、商店に寄り、持ち前の転生を活かして商人の魔道具売買をやめさせるレイ。レイの能力に対する商人の警告、今後に何か響きそうですよね。

そして、なぜか(ここ重要)レイの用事にも付いてきたクレア様。

レイ「今日はどうされたんですか?私の用事についてきたいだなんて」

レイ「もしかして…私のデートしたかったとか!?…なーんて、そんなわけないですよね」

クレア様「💢💢💢///////」

最高すぎませんか???(今回はまだ序の口です)

それだけではありません。流れで菓子店にも寄った2人。レイの出自の話の流れから、なんと、クレア様がレイの出身地・港町ユークレッドにある別荘でバカンスを過ごすことに決めたのです。

先ほども述べたとおり、まだまだ序の口なのですが、これまでのレイとクレア様の関係性を考えれば、もうこれだけでお腹いっぱいなんですよね。クレア様が明らかにレイに興味を持っていて、その地に別荘があるとはいえ、レイの出自を気にしてついて行くという。恋愛感情云々は置いておいても、レーネにも劣らぬ関係性を築いているのは間違いないです。

 

さて、その夏休みです。

移動中の馬車。レイを従者として認めたとはいえ、平民であるという点に相変わらず突っかかってくるクレア様の父ドル=フランソワ。ついには同じく従者だったレーネを近親愛の異常者として罵倒すると、クレア様は堪らず抗議しますが、逆に「貴族なんたるか」を盾に説き伏せられてしまいます。

かつてレイは転生の知識を利用してクレア様の父に従者として働くことを認めさせましたが、クレア様が特別なだけで、やはりこの時代・世界の一般的な貴族は、平民を、そして、マイノリティをいかに軽蔑しているかが窺えます。

レーネを侮辱され、貴族なんたるかで説き伏せられたクレア様。そんなクレア様に寄り添うレイ(尊い)。しかしレイはあくまで実家で寝泊まりをすると伝えると、父と一緒に過ごしたくはない(そしてレイとも離れたくない)クレア様は、レイの実家で過ごすことに決めたのです。

そうです。結婚を前提としたお付き合いを報告するあれです(違います)。

 

冗談はともかく、レイの実家へ向かう2人。

港町ユークレッドにて、クレア様はレイの人気ぶりを目の当たりにします。そして直面したのは、「レイがモテる」という事実。レイを慕う(ミシャ談)幼なじみで冒険者の男・ルイを前にしたクレア様は、それはそれは、読者を喜ばせる見事な嫉妬ぶりを見せます。

レイ自身がルイに好意を示している様子は全くないのに、ただレイが慕われているという事実だけで嫉妬するクレア様。その反応、パーフェクトです。

実家に到着するや否や、クレア様がレイの母・メルにお召し物を剥ぎ取られるということはありつつも、ようやくテイラー家へ到着した2人。

そんな2人を追って、あのクレア様の取り巻き2人、ロレッタ&ピピも来ていたようで。2人はレイの弱点をつかむとか、2人の仲を邪魔するとか、そんなことを考えていたようですが、思わぬレイの幼少期を知ったり、メルの優しさに触れたりして、結局は引き下がりましたね。この2人、アニメ化のキャスト発表で男性陣より早くキャストが発表されるなど不自然な扱いではありますけど(そこがいわゆる『男性差別反対』民にケチつけられるのではないかと私が恐れている点なんですが)、クレア様を託すならマナリアよりレイのほうが良いと考えるなど、思考に柔軟な点があるので、そこそこ重要な存在だなと思ってます。

 

夜も更けて、夕食の頃。貴族であるクレア様の口には合わない庶民の食事であることを危惧するレイでしたが、クレア様は、美味しいと言っていくらか口にします。

…実際のところ、この場面が著しくポイントなわけではないのですが、今後の展開を考えても、この辺りでクレア様の変化には言及すべきだと思うので一応述べますと、クレア様は明らかに今までと一線を画すようになってきていますよね。いくらレイのことが気になっているとはいえ庶民のレイの用事に付き合ったり、出自に興味を持ったり。いくらレーネに思い入れがあるとはいえ父に歯向かったり。いくらメルの好意を無碍にできないとは言え口に合わないものを美味しいと言って食べたり。彼女にとって大切な存在、特にレイの存在が、彼女の貴族観であるとか、それ以上に人間としての理想的道徳観を築き上げてるんだなって思います。あくまで、「築き上げてる」だけです。「変えてる」わけではないと思います。なぜなら、レイが転生前から見抜いていたように、クレア様は元々倫理道徳には優れているお方ですから。

ちょっと真面目に考察しすぎましたね。良いんです。この直後がヤバいので。

 

庶民であるテイラー家にはお風呂がないことを知り、改めて平民と貴族という身分格差に思いを馳せながらレイに身体を拭いてもらうクレア様。クレア様の身体を拭き終わったレイが自分の身体を拭こうとすると、背中が届かないだろうと言ってクレア様がレイの背中を拭こうとする。断るレイと拭こうとするクレア様は、もつれ合い…。

(レイとクレア様の心臓の鼓動)

(クレア様の右手はレイの胸、左手はレイの腹部へ…)

(天を見上げて尊死しかける私)

言っても私はそれなりに百合漫画・百合ラノベを消化してきた人間です。これくらいの肌の触れあいは何度も見てきましたし、なんなら交尾(直接的)も見てきました。

ですが、これは違います。私が心の底から応援する、レイとクレア様ですから。

確かに2人は今までも裸を見せ合うくらいはありました。お風呂とか。主人と従者ですし。

でも、あのクレア様が本当にドキドキしてて、そして何より、クレア様になら何されても…と余裕(?)ぶっこいていたレイがこの照れようですからね。これは格別でした。直後にメルが入ってきて、レイは「ヨヨ…」(およよ…)なんて反応してますけど、これは見事な進展ですよ!!!

(レイのスレンダー体型がいじられるオマケ漫画も最高でした)

 

日付も変わり、海でバカンス。

それはもうキャッキャうふふな場面をイメージしていたレイも、カナヅチでそれどころではないクレア様に苦笑。

とはいえ、クレア様の水着を凝視したり、庶民のデフォ水着・スク水によって母メルとの体型差を晒されたり、レイにしてみれば(それが良いかどうかは別にしても)なかなか刺激的イベントですよね。その後のお食事でもイチャついちゃって。

しかしストーリーも大切な本作品。このタイミングで、シリアスイベントが発生します。くだんの『アンデッド』が幽霊船に乗って登場です。

 

腑抜けのユークレッド領主に代わって指揮を執るのがクレア様の父ドル。ドルは、冒険者ギルドとその責任者のルイだけでなく、クレア様、レイ、ミシャを幽霊船へと随行させることを宣言。

アンデッドをお化けと恐れるクレア様ですが、ルイ曰く、クレア様たちの存在が冒険者ギルドの士気に関わってくると言われ、ビビりまくりで前線に立ちます。

クレア様「お化けじゃなくてアンデッド…お化けじゃなくてアンデッド…」(自己暗示)

レイ「アンデッドじゃなくてお化け♡ アンデッドじゃなくてお・ば・け♡」(煽り)

ほんと欲望に忠実なレイです。かつてクレア様と出会う前は心あらずの空っぽだった少女で、「クレア様」以外に対する欲がないので、クレア様相手にはいつでも全力ですよね。

 

かつてレイに鍛えられたルイは、レイとの相性がぴったりで、次々とアンデッドを打破していきます。そんな2人に嫉妬するクレア様という激アツポイントもありつつ、たどり着いた親玉のいる船長室。

しかし、そこは誰もいない空の部屋。そして、瞬時に鋭く事態に気づくレイ。

先日レイが商人に売買をやめさせた『死者を蘇生させる魔道具』を手に入れ、クレア様たちのいるユークレッドをアンデッドたちに襲撃させたのは、冒険者ギルドのリーダーでレイの幼なじみ・ルイだったのです。

それでもレイなら…と我々は思うわけですが、レイ曰く、ルイは本来のゲームでは敵キャラではなく、「物語は私の想像以上に大きく変わってきているのかもしれない」ということなので、全く未知のイベントに対応しなくてはならない場面です。

 

ルイがバウアー貴族の調査船を乗っ取ってアンデッド化させたと推理するレイですが、そんな推理も気にとめず、ナー帝国の刺客を頼り、魔道具と毒薬を手に入れたとあっさり白状するルイ。そしてルイは自ら毒薬を飲み、魔道具によって自身をアンデッド化させます。

毒薬には解毒魔法含めあらゆる魔法を受け付けないというトンデモ設定があり、レイたちの魔法も効きません。そして、当初は巻き込まない予定だったレイのことも、ルイは殺しにかかります。さらに、貧困が原因でナー帝国の刺客の依頼(貴族を殺すこと)を受けたのだとルイが叫ぶと、クレア様は動揺。危うく殺されかける事態に。

かなり厳しい状況ではありましたが、それでもなんとか知恵と魔法を工夫して活かし、ルイを倒すことに成功した3人。

すぐさま船を後にしようとするレイとミシャですが、クレア様は瀕死のルイに最後の温情をかけます。ルイの頼み事は、大病のルイの母を診ること。ルイは、貧困が原因で母の診療までしか賄えず、ナー帝国の刺客の依頼を受けて大金を手に入れることで、母の治療費を賄おうとしていたわけです。クレア様は、フランソワ家の名にかけて約束を守ると誓います。そして、戦いを終えた後、クレア様は約束を果たし、ルイの母には事実を伝えず、あくまで仲間のために殉死したと伝えました。

 

クレア様「彼を糾弾するのは簡単ですが、それでは事の本質を見誤りますわ」

クレア様は、ルイだけの問題ではなく、貧困を生み出す為政者と国の仕組みにも原因があるのだと理解し、学びを深めていくと決めます。

レイ「綺麗事だけでは政治は回らないってことはクレア様が一番ご存じでしょう?」

クレア様「それは理想から現実に逃げているだけですわ」

クレア様「わたくしは知りたい…学ばなければならないのです。この国の今の姿を」

 

今回のこの6巻、もちろん百合展開も非常に激アツだったのですが、それと同じくらい、私はこのクレア様の変化に感動しました。

クレア様は元々心優しく人道的で道徳的な素養がある少女ではありましたが、貴族として生まれ育ってきて植え付けられていた貴族としての価値観は、そう簡単に揺らぐものではなかったと思います。

そんな中でも、レイと出会い過ごす中でその価値観ははっきりと揺らがされてきて、そして今回、レイのことを更に知り、レイを取り巻く平民の生き方を知り、非常に崇高な価値観を能動的に築き上げるに至ったと言えます。

 

冒頭で私は「世論に言及せざるを得ない」と言いましたが、それがまさにここなのです。

近年、やたらと「綺麗事」を忌避する人が多いなと感じます。ですが、私はその姿勢に凄く違和感を覚えてきました。その違和感を言語化してくれたのがまさにクレア様の台詞で、「理想から現実に逃げているだけ」だと思います。

確かに現実を見ることは大切なことです。ですが、果たして彼らの言う「現実」は、本当に彼らの意味するところの「現実」でしょうか?「理想」と呼ばれるところの姿が本当に理想にすぎない非現実的なことなのかどうかを、「学ん」で断定できているのでしょうか?

 

そのように思うからこそ、クレア様は非常に為政者向きだと感じています。

王国の今の姿を学び、貴族も平民も手を取り合って生きていく王国(それはたとえ平等でなくても、両者が納得して共存していく世界)を作り上げていくことを、「綺麗事」「理想」では終わらせない。それがクレア様にはできると思います。

そして、それを支えるレイは宰相に相応しいですよね。知性もあるし、魔力もある。そして何より、クレア様にすべてを捧げる心を持っている。

クレア様とレイによる王国。めちゃくちゃ平和になりそうですし、綺麗事も現実になりそうですし、何より…

 

尊い!!!打点高い!!!百合王国!!!

(最後のは冗談)

 

 

 

というわけで、6巻でした。

最後のほうで真面目にいろいろ言いすぎたので、最後の最後、百合脳に回帰して終わらせていただきました。

総論のほうも若干。

先ほども述べたように、今回のストーリー的なポイントは、クレア様の中での貴族のあり方が大きく揺らいだところです。そして、そのきっかけは間違いなくレイなわけです。百合的にも非常に展開のあった2人ですけれども、クレア様の成長も非常に見所でした。

また、4巻5巻のことを考えても、どうやらナー帝国の刺客に関するところが、レイの知っている物語(本来の乙女ゲームのストーリー)から一番大きく変化しているようですね。そもそもレイ(プレイヤー)が男そっちのけでクレア様(悪役令嬢)に現を抜かしているところが何より大きい変化ではあるとは思うんですけど。そう考えると、ナー帝国の刺客というのも、その辺のレイの行動が大きく関わっていると考えられますね。

 

あとついでに、ピピとロレッタも百合百合してて良かったです。

 

 

さて次巻は新キャラが登場とのことですね。原作勢はよく知っているキャラなんでしょうか。

いずれにしても、一騒動乗り越えて色々と発展・成長(レイの体型除く)したレイ&クレア様が、次巻ではどんなイチャつきを見せてくれるのか楽しみです。

 

 

 

以上

 

 

伊吹 柚子(Ibuki Yuzu) まさか2回も尊死しかけるとは思いませんでした