付き合ってあげてもいいかな 2巻 感想[百合作品]
こんにちは、伊吹柚子です。
百合作品の感想です。
付き合ってあげてもいいかな(2巻)
www.shogakukan.co.jp[著者] たみふる
[出版] 裏少年サンデーコミックス
[あらすじ]
めんどくさくてかわいい、私の彼女。
新歓コンパの夜、互いに「女性が好き」と打ち明け
ノリで付き合うことになったみわと冴子。
二人でエッチな経験もして、
沸き上がるのは愛情?それとも独占欲…?
「…ねえ、みわってあたしに嫉妬したりする?」
夏休みのサークル合宿が始まり、
波乱(?)の女子大生ガールズラブ第2巻!(小学館より)
前回もお話した通り、8巻まで読んでいるので、早々に2巻の記事書いてま~す!
二人の関係がどうなるのか、ワクワクですね!!!
とまぁ、このくらい無理矢理テンション上げていかないと、この作品は楽しめませんよ・・・
前回ネタバレさせていただいた通り、この作品は、みわと冴子がひたすらイチャコラしていくだけの百合作品ではないので、らぶらぶハッピーエンド信者の私には、ちとキツいのです、よ!
それでも素晴らしい作品なので、こうして読み続け、ご紹介させていただいているわけですが。
あと、どうやら作者たみふる先生的には、百合作品ではなく恋愛作品であるという扱いのようですね。
さて2巻。
前回は、なし崩し的な交際でスタートした割には、大学生っぽい軽い恋愛には発展せず、過去の闇や性格、価値観の相違も相まって、早々になかなか微妙なすれ違いを繰り返す二人が描かれました。それでもお互い根底には相手を手放したくない強い思いがあって、「みわ、めんどくさい」問題をうやむやにしたまま、みわが冴子の性欲を受け入れました。
ここで早速、ストーリーの注目ポイント。この、セックスです。
もちろん、一般的に、うやむや状態のセックスが後々問題に来るのは一般的なことではあるというのは承知していますが、殊この作品に関してはそんなに単純ではないんですよね。
先々のネタバレ控えめで、というコンセプトで1巻から記事を書き始めたので、あまり詳しくはご紹介できませんが、この作品を読み進めていこうと決意されている方に対しては、今回の初セックスで明らかになった「みわは、いっぱしに性欲がある。セックスも好き」、「冴子は抱かれたくない」という観点をお忘れ無く、とお伝えしておきます。
それらも留意しつつ、2巻の中心は、「嫉妬と束縛」ですね。
たぶん、さらっと読んだ人には、完という男子が絡んで二人の関係が云々というところに目が行きますよね。あるいは、完の背景が何かキーになるのではないかと考えるとか。
もちろん、二人の関係云々も大事ですが、本質はやはり、そこから繋がる「嫉妬と束縛」問題が中心ですし、少なくとも、8巻時点では、完の背景はあまり関係がないので、そこは深追いしません。
あくまで、「嫉妬と束縛」です。
そしてこれは、リアリティポイント③でもありますし、この二人の関係の重要なポイントでもあります。
なぜリアリティポイントかと申しますと、先ほどのセックスの件も含め、この作品あるあるですけど、「人間らしい一貫性のなさ」を露呈してるんですよね。
冴子は本来、嫉妬と束縛からは無縁でいたい人間ですが、(なし崩し的な交際相手であるみわに本気の愛を求めるようなそぶりをすると共に(∴1巻)、)みわが無防備でなことに怒りを感じ、強い嫉妬を覚えるんですよね。そしてみわは、その性格からいかにも嫉妬と束縛を抱きそうなキャラクターのわりに、冴子のことを「嫉妬と束縛とは無縁の人間」と思い込んで、自由に振る舞っている。
理屈とはズレているのに、人間って、こういう一貫性のない行動や感情をもつことがありますよね。
セックスのこともそうです。真面目ちゃんのみわがいっぱしに性欲とセックスに溺れる節がある一方で、性欲の冴子が抱かれることを拒否したり。
なので、そういった「人間らしい一貫性のなさ」は、リアリティであり、この作品あるあるなんです。
また、なぜこの二人の関係の重要なポイントかと申しますと、この「嫉妬と束縛」に関する二人のズレが、今後、かなりのダメージになるからです。どのようなダメージになるかはネタバレなのでお伝えできません。
・・・・・・まあ、ダメージになるという時点で、ネタバレ同然ですが。
1巻に続けて、またしてもこんな致命的なズレをうやむやにしながら、3巻へと続きます。
お察しの通り、みわが昔愛した、熊谷先輩の登場です。
3巻が読みたくなる魔法→→→熊谷先輩は、この先8巻までしっかりと影響力を持ってます!!!
前回同様、時系列でまとめておきますね。
・初セックス。みわはセックス大好き(語弊があるか)。冴子は抱かれようとしない。
・軽音部合宿が決定。その頃、部の先輩「完」に二人の関係がバレ始める。
・冴子は、中学時代のトラウマがあるので、二人の関係がバレることによるリスクを恐れる。みわは、関係は隠しても、恋人であることを嘘でも否定したくない。
・中学時代の経験から嫉妬と束縛を嫌う冴子だったが、みわの行動を見るうちに、みわに対する嫉妬と束縛を感じるようになる。
・冴子が嫉妬を隠しきれず、みわの無防備さに怒りをあらわにしてしまう。
・うやむやにしたまま、なんとなくの仲直りをして合宿へ。
・合宿の終わり、みわのもとに、昔好きだった熊谷先輩と出会える同窓会へのお誘いが来る。
以上。
伊吹 柚子(Ibuki Yuzu) この作品の良さを伝えるには論文くらいの労力が要ると思っている